屋根からの雨漏り:化粧スレートの雨漏り
左側2枚の屋根材は”松下電工製:フルベスト”で右側が”クボタ カラーベスト・コロニアル”です。 屋根材により特徴があり、製造方法から強度が異なります。 フルベストは湿式製法のため一方方向(縦方向)に割れやすく、乾式製法のコロニアルは割れる方向に一貫性はありません。 屋根材には「乗ると割れやすい箇所」があります。いずれにしても、割れてしまった場合は早めの対策をお勧めいたします。
屋根勾配が緩い場合はなおさらです。 そこで、下葺き材の重要性が高まってきます。 化粧スレートの屋根を少しでも長持ちさせるには毛細管現象を少しでも軽減できるようにする事が大切です。 しかし、高温多湿の日本の環境では30年位で葺き替えが必要な事例が少なくありません。 毛細管現象による雨漏りの要因となるのは過度な塗装による例も少なくありません。 化粧スレートの塗装は、屋根の耐久性を向上するためのものではなく、屋根材の撥水性の向上、美観の向上が主な目的で、塗装をした事で屋根材自体(製品)の耐久性が向上することは考えにくいでしょう。 上記の写真は毛細管現象による雨水浸入による被害の例です。 写真@、塗装が原因の雨漏り この事例は塗装を行った直後から雨漏りが生じた例です。 雨が降った3日後に調査に伺い、塗料でくっついた屋根材をケレンで剥がしたところこの様な状況が確認出来ました。 写真A、塗装+下葺き材の不備 この事例は下葺き材の仕様書違反があり、塗装を行ったことで毛細管現象が促進され、雨漏りに至った例です。 化粧スレートは#940(22sアスファルトルーフィング)以上の下葺きが必要とされています。 現在では改質アスファルトルーフィング(通称:ゴムアス)を使用する業者も増えてきました。 この事例は、17sアスファルトフェルトが使用してあり、下葺き材の性能を満たしていないため、早期に雨漏りが生じた例です。 屋根材の重ね目にシリコンコーキングが施してありますが、これが原因で雨水がとどまってしまっているのが確認できます。すぐ上の野地板も黒く変色しています 写真B、Aを一部剥がした所です。 野地板(合板)は腐食し、軒先部に至っては垂木が腐食して無くなっていました。 この写真を見れば、どの位置からどのように雨漏りが生じたか”プロ”ならわかります。 写真C、塗装+毛細管現象 松下電工製・フルベスト24です。 屋根材の生産コストの関係から一部えぐられた箇所が有り、この箇所が最も強度が弱い箇所です。 この周辺に乗ることで踏み割れを生じる例が少なくありません。又、この箇所は屋根材の重なりも少ないため毛細管現象による雨漏りが生じやすく、この事例では野地板の腐食に至ってしまいました。 写真から雨水の浸入が確認できます。
特に、隅棟部分は省いてはいけない工程が有り、これを怠ると必ずと言っていいほど雨漏りが生じます。 多くの場合、施工後7年ぐらいの事例が多く見られますが、現在は”ゴムアス”ルーフィングを使うことで、貫板腐食の発見が遅れ、棟板金の飛散につながる事例も出ています。 写真@、三つ叉部からの雨漏り この雨漏りは、谷板金の止め部分に立ち上がり加工がされて無いため、台風などの度に雨漏りが生じた例です。 屋根を熟知した作業ではなかったため、詳細な調査をせずにコーキングのみで処置したためにこの様な事に至っててしまったようです。 写真A、工程を省いて工事を行ったために起きた事例です。 この事例は運良く野地板の腐食には至っていませんでした。 写真B、塗装後、毛細管現象による腐食、結露も・・・ この事例は塗装を施したことで、屋根材と板金部材が密着し、棟板金内部に浸入した水分が逃げ場を失い、棟内部で木材が蒸けてしまった例です。 右側の新しい木材は、以前、他の業者が行ったものです。 写真C、AとBの複合的な事例 この事例も、一部の工程を省いたことが原因で、雨漏りを生じた例です。
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